春はハッピーだけではない。わたしの心は春が終わりそうな今、ざわざわしている。
書籍情報
タイトル:春のこわいもの
著者:川上 未映子
出版社:新潮社
発売年月日:2022年2月25日
文庫化:2025年3月28日
あらすじ
美しい地獄へようこそ。世界が待ち望んだ短編集。
世界が一変してしまったあの春、私たちは見てはいけないものを覗きこんでしまったーー。持てる者と持たざる者をめぐる残酷なほんとう。死を前にして振り返る誰にも言えない秘密。匿名の悪意が引き起こした取りかえしのつかない悲劇。正当化されてゆく暴力的な衝動。心の奥底にしまい込んだある罪の記憶。ふとしたできごとが、日常を悪夢のように変貌させていく。不穏にして甘美な六つの物語。
印象に残った物語
📖青かける青
わたしがきみに贈る手紙💌
わたしはきみのことがだいすきです。きみに会えたことは、わたしの人生に起きた、本当に素晴らしいできごとでした。わたしを見つけてくれてありがとう。
やさしいやさしい手紙。きっときみが優しい人で、わたしは控えめな繊細な人なんだろうと思う。
本当はもっと素敵な表現があるから引用したいのだけれど、なんだか人の手紙を拾って見せてるようなそんな罪悪感をおぼえるので、なかでもわかりやすいところを。
📖あなたの鼻がもう少し高ければ
かわいい女の子を日ごろからネットで見漁る主人公。みんな1度は整形を考えるのかなと思う。
実際、私も考えていた。というか学生の頃は整形すると決めていた。
ただ社会人になってマツパや脱毛、エステにお金を使えるようになると、なんだか今の私のいごこちがよくなった。
アイドルのように可愛くなくても、なりたい顔になれなくてもいいや、今の顔が心地いいから。
📖娘について
夢をおいかけ上京した。少しして親友もやって来た。
「何がしあわせかわからないけど」ネコさんは言った。「自分が何を幸せに思うかに気づくのが、大事だと思うわ」
これ本当に大事なことだお思う。
夢を叶えた人、叶えられなかった人、夢を追う誰かを応援する人…。
その誰しもに終わりがある。
夢を叶えた後、私はなにがしたかったの?
叶えられないことで、私は今にたどり着けたわ。
夢を応援するのは、私の夢を叶えてくれると期待してるから。
終わりを迎えたその日が幸せなように。
感想
多くは言いません。ですから、あとは想像におまかせします。そう言われているような小説だった。
1つの情報でたくさんのことをうけとれる。そんな人には味わえる小説だと思います。私には味わうことが難しい1冊でした。
味わうことは難しかったけれど、なんだか大切な言葉には出会えた気がします。
そんな味わい方でもいいですよね。
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